第404回「猫少年」

彼のまじめなときの表情に似ているんだよね。

こちらはみくさんのお父さん、知男さんの絵。みくさんの描くかわいい自然体の猫とは違う人間くさい猫が、彼の猫の特徴。
これ、前回紹介したみくさんのお父さんの絵だったんですか! すごいですね、この緑の目。
うん。ちょっともの憂く、知的で何を考えているんだろうと思っちゃう。思慮深い少年の顔。江戸川乱歩の怪人二十面相の小林少年を思わせる猫少年。
小林少年の顔、知らないですねぇ。わかる人にはわかるのかな。でも確かにこの目…何もかもお見通しの目ですよね。恐ろしいなぁ。あなたダイエット中なのに、昨日の夜、ラーメン食べましたねとか言いそうだわ。
それは嫌だなぁ(笑)。どうしてこんな表情になるんだろうと思うと、目や鼻、口の位置が人間の顔の位置に描かれているんだよね。こんな面長な顔をしている猫はちょっといないよ。猫の目や鼻、口はもっと真ん中に集中している。
もしかして、知男さんって目が離れてましたっけ? ほら、絵って描く人に似るから。
実はこの猫、知男さんは気づいているかどうか知らないけれど、彼のまじめなときの表情に似ているんだよね。
きゃー、やっぱり。
フェースに来て、みくさんが絵を描き始めると自分も描き始めるんだけど、そのときこんな風にキリリと口元が閉まる(笑)
あ、口元の話でしたか。でもその言い方だと、いつも口元がだらしないみたいですけども(笑)
いつもは彼、ニコニコ笑っているんだよ。一心に書いていると、この口になる。
何か、まねきねこさんにそんなに見られていると思うと、知男さんも緊張しちゃいますね(笑)
父娘が、一心に書いている風景がフェースならではで、いいんだよね。
だから見ちゃうんですねぇ。知男さん、これからも熱い視線を注がれちゃいそうですよー!
2017.06.02(fri)




よこはちは、名もない女性編集者。障がいを越えて表現を楽しむアートスペース「フェースofワンダー」の仲間たちの作品に惹かれ、主宰者のまねきねこさんに「くすくすミュージアム」で絵を紹介しないかと持ちかけました。
まねきねこさんは、「フェースofワンダー」で個性に合わせた素材、道具、画法開発を大切に考えた活動を展開するかたわら、「指導者養成講座」にも取り組んでいる人物です。 主著に『アートびっくり箱』(学研)、『続アートびっくり箱』(学研)、『ねっこのルーティ』(パロル舎)、『ねっこのルーティ(電子書籍版)』(BowBooks)など。









水性色鉛筆/300×210mm




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