第379回「海のマーチ」

もうチャレンジってレベルじゃないですよ。

明るくて、きれいで、すごく魅力的なコラージュ! 船でしょうか?
これは寛之さんの好きなテーマで、多分巡洋艦。彼は飛行機や船といった乗り物が好きで、それを描くときはいきいきした表情になる。
寛之さんは、いつもコラージュなんですか?
普段は色鉛筆でイラスト的な絵をさらさら描く。でも彼の力量を考えると、よりインパクトのある絵を描いてもらいたいと思うんだよね。それでコラージュにチャレンジしてもらった。
この絵、もうチャレンジってレベルじゃないですよ。結構な経験を積みました的なレベルだと思いますが。
新しい画法に取り組むときは、抵抗が生まれるから注意しなければいけない。この画法は、こんな絵になるんだよという視覚的にわかりやすいものをとりあげ、画材や道具も本人が使いやすいものにし、テーマも好きなものにする。
そんな上手な誘導が、寛之さんの才能を引き出しちゃったんですか。まねきねこさん、グッジョブですね。ちなみに私は、この海が好きです。チラシに印刷されたキラキラが、効果的に使われてて、本当に海がキラキラしてるみたい。
ハサミで切ったシャープな切り口や破り取ったギザギザの感触も、絵に思わぬ効果を生んでる。波のうねりの感じがよく出ているよね。船腹なんかにもチラシの文字が躍っていて、アートっぽい。
船腹にある「5」っていう数字も、それっぽくていいですね。こだわってる感、半端ない! 船の上は、色や模様がちょっとお菓子っぽくて、夢の国みたい。空のブルーグリーンもきれいで、ますますいいです。
船上の装具についてはコラージュだけでやるのは難しかったので、筆で描いている。筆とチラシの混じり合った感じも悪くないよね。貼り絵だけよりも面白い効果が生まれているかもしれない。
いいんじゃないですか? 海も塗ってますよね? 塗ってるからこその一体感、あると思います。
その相乗効果で、海風に吹かれ、波をきって進む、かっこいい船のイメージが生まれている気がする。完成したとき「ほら、できましたよ!」と嬉しそうに見せに来たからね。
2016.11.18(fri)




よこはちは、名もない女性編集者。障がいを越えて表現を楽しむアートスペース「フェースofワンダー」の仲間たちの作品に惹かれ、主宰者のまねきねこさんに「くすくすミュージアム」で絵を紹介しないかと持ちかけました。
まねきねこさんは、「フェースofワンダー」で個性に合わせた素材、道具、画法開発を大切に考えた活動を展開するかたわら、「指導者養成講座」にも取り組んでいる人物です。 主著に『アートびっくり箱』(学研)、『続アートびっくり箱』(学研)、『ねっこのルーティ』(パロル舎)、『ねっこのルーティ(電子書籍版)』(BowBooks)など。









水性絵具/チラシ/270×380mm




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