第359回「プチ老人」

目力が、老人にしては強過ぎるんだよね。

何となく、ロシアの農村の老人を思わせる絵だね。色が渋い。スモック風の深緑の上着。ルパシカっていうんだっけ? これを着てコサックダンスをしている写真が記憶にあるなぁ(笑)
ルパシカって民族衣装ですか? コサックは知ってますよ! 腕を組んで腰を落として、片足ずつ上げるダンスですよね。あれ踊って、後ろに倒れた知り合いいますよ。あれは、久々に面白かった…結構、筋力がいる踊りなんですよね。
寒い地方なんだろうね。暖かそうな服を着込んで、こちらを見ている。背景のレンガ風の壁もそれを思わせるね。
このレンガの色、すごくおしゃれ! こういう壁の喫茶店があったら、私もこのおじいさんみたいな感じで写真を撮ってもらいたいですね。それにしても、このおじいさんは誰なんでしょう?
真っ白なひげが、もしゃもしゃ生えまくってる(笑)。これは、お母さんが持ってきた写真を見ながら描いたものだけれど、どう描いても雄平さんのユーモラスな感性が表れるんだよねぇ。
お母さん、どんな写真持ってきたんでしょう! 雄平さんのユーモアもさることながら、お母さんの写真チョイスも気になる! こんなおじいさんいるのかなぁ。目が、ただ者じゃなさ過ぎますよね。ずっと見てると、ちょっとコワい。
目力が、老人にしては強過ぎるんだよね。眉毛も黒々として、もしかしてこの白ヒゲは付けヒゲなのかって思う(笑)。
えっ! 何のために付けヒゲ…。いや、よりコワくなってきましたよ。
雄平さんの描く人物像は、味わい深いんだ。体と顔の動きにも注目! 体は右に向いているんだけれど、顔は正面に向いている。それだけで、「おっ、なんだよ」って感じの表情が生まれている。
言われてみると、こっちを静かに向いた動きが伝わってくる! もう、目も、ヒゲも、体も、耳も、おでこのシワも、背景も、全部意味深に見えてくる! 何だこの絵!? 凄過ぎるじゃないですか。
2016.07.01(fri)




よこはちは、名もない女性編集者。障がいを越えて表現を楽しむアートスペース「フェースofワンダー」の仲間たちの作品に惹かれ、主宰者のまねきねこさんに「くすくすミュージアム」で絵を紹介しないかと持ちかけました。
まねきねこさんは、「フェースofワンダー」で個性に合わせた素材、道具、画法開発を大切に考えた活動を展開するかたわら、「指導者養成講座」にも取り組んでいる人物です。 主著に『アートびっくり箱』(学研)、『続アートびっくり箱』(学研)、『ねっこのルーティ』(パロル舎)、『ねっこのルーティ(電子書籍版)』(BowBooks)など。









アクリル絵の具/540×380mm




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