第354回「タコ怪人」

適当にバリバリ破ってどんどん貼っている。

実はこのタコ、偶然に生まれた作品。アキトさんは最初、お母さんたちと一緒にチラシを使って共同制作のサラダのコラージュを作っていた。サラダ菜や生ハム、キュウリにトマト……彼はそのとき、このタコを作った。
アキトさんは、タコサラダが好きなんですかね? あー、それとも酢の物にしたかったとか? キュウリとタコとか合いそうだし。いいじゃないですか。
ところがこのタコ、存在感が強くて、サラダの素材にするより作品として自立していたってわけだ。
確かにサラダに入れるには、ちょっとそのまんま過ぎるかもですね。とは言え、タコそのものだとしても、おもしろ過ぎですよね。だって、人の手が見えちゃってますよ。
怪しいよね(笑)。タコの被り物をして、こちらを見ているのかな。白い眼が怖い。吸盤の大きさもすごい。何にでも貼りついてしまいそうだ(笑)。背景の赤はクレパスで塗っているんだけど、その密度もまたすごい。タコよりも濃い赤。
私がすごいって思ったのは、左に貼られている黒い紙。これ、墨ですよね。勢いがあるし、吹いてる方角もバッチリだし、秀逸だわ〜って感心しました。
彼にはコラージュっていう方法がいいのかもしれない。ダイナミックな構成、アッと思わせるアイデア、強いインパクト……そんなものがギュッと詰まっている。適当にバリバリ破ってどんどん貼っている。それが生命感を作っている。
これからも、バリバリやってってほしいですね!
2016.05.27(fri)




よこはちは、名もない女性編集者。障がいを越えて表現を楽しむアートスペース「フェースofワンダー」の仲間たちの作品に惹かれ、主宰者のまねきねこさんに「くすくすミュージアム」で絵を紹介しないかと持ちかけました。
まねきねこさんは、「フェースofワンダー」で個性に合わせた素材、道具、画法開発を大切に考えた活動を展開するかたわら、「指導者養成講座」にも取り組んでいる人物です。 主著に『アートびっくり箱』(学研)、『続アートびっくり箱』(学研)、『ねっこのルーティ』(パロル舎)、『ねっこのルーティ(電子書籍版)』(BowBooks)など。









クレパス/335×245mm




かんそうを送る