第310回「標準栄養成分表」

あら、いい感じの距離感。

これは二人の人の合作。一人は、くすくすミュージアムでもおなじみの「リトルピープル」の作家、井上くん。もう一人は、初登場の遠藤祥子さん。
祥子さん、優しくて朗らかな方ですよね。前に、町田の現場に遊びに行ったとき、お会いしました。まねきねこさんがお父さんだとしたら、祥子さんはお母さんってイメージだったなぁ。
最近は、ぼくが町田の現場を離れ、彼女が一人で切り盛りしてる。最初は、ぼくのアシスタントみたいな気持ちで、いろいろお世話をしてくれてた。それが、だんだん物足りなくなったのか、自分でも絵を描き始めた。
じゃぁ、教えるとか教わるとか関係なく、みんなで絵を描いているんですね。より、おもしろい集まりになってきたなぁ。
この絵で、祥子さんは藍色のカップ麺と栄養成分表の文字を描いた。カップ麺の左の二本の真っすぐな垂直線、多分これはお箸なんだろうね。
きっと「なぜ、カップ麺なんでしょう?」なんて聞くのは愚問なんでしょうね。
そんな祥子さんテイストの絵の上を、井上くんのリトルピープルがどんどん歩き回っている。
この絵よく見ると、祥子さんの絵の上をリトルピープルが歩いているんじゃなくて、リトルピープルの絵の上に祥子さんが、ドカッとカップ麺を描いてませんか?
いや、祥子さんの絵の上に井上くんが描いたものだよ。だって、いつまでもその上に描いていたもの。それ間違いなし。
いつまでも(笑)。自分の描いたものの上に、そんなに真剣に描いてくれるって嬉しいなぁ。そういえばリトルピープルたち、箸の上を走ったり、カップの底を歩いたりしてますね。ただ、私は人の絵に何か描くのは緊張しちゃうなぁ。
そういうの、仲間にとっては問題じゃないんだ(人にもよるけれど)。絵は描いたらおしまいって人が多い。よこはちさんみたいに気を使う人は少ないよ。仲間が自分のものに描いていても「あっそう!」って、横目で見る感じ。
あら、いい感じの距離感。
うん、何だかとても緩やかな自然さがあるんだよね。
2015.08.18(tue)




よこはちは、名もない女性編集者。障がいを越えて表現を楽しむアートスペース「フェースofワンダー」の仲間たちの作品に惹かれ、主宰者のまねきねこさんに「くすくすミュージアム」で絵を紹介しないかと持ちかけました。
まねきねこさんは、「フェースofワンダー」で個性に合わせた素材、道具、画法開発を大切に考えた活動を展開するかたわら、「指導者養成講座」にも取り組んでいる人物です。 主著に『アートびっくり箱』(学研)、『続アートびっくり箱』(学研)、『ねっこのルーティ』(パロル舎)、『ねっこのルーティ(電子書籍版)』(BowBooks)など。




水性絵の具/色鉛筆/ボールペン/355×355mm




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