第284回「すごろく人生」

流れの先頭は、ミミズ!

井上くんの作品だ。彼の作品は、いつ見ても楽しい気持ちにしてくれること間違いなし! ですよね。真ん中にいる男の子からして、もういい感じ。雨の中、ちっちゃい傘をさしてる。
この大きさだと、ほとんど意味がないけれどね(笑)。アリもいるね。
アリ……いた! 真ん中の女の子たちの間ですね。これ、真ん中にいるのは上が男の子で、下が女の子。ポイントは髪の長さですよね? 私、リトルピープルの性別の違いが、完全にわかるようになりましたよ。
縄跳びしている男の子や女の子もいる。犬を連れた人や帽子をかぶったおじさんが、花束を持って歩いていたり……。
この犬、ちょっとブタみたいな気もしますね。下の花束を持ったおじさん、私も気になっていました。というか、これ勝手にマジシャンだと思っていましたよ。シルクハットかぶってるし。
みんな自分のペースで自分の時間を生きているみたい。それでいて全体の流れは乱れていない。不思議な絵だよねぇ。
確かに淡々としてますね。杖をついてるおじいさんも、マイペースっぽいのに列を乱してない! ただ、このマジシャン風の最後の男の人は、ちょっと焦ってる? 坂だからかな(笑)
このぐるぐる回っているすごろくみたいな流れの先頭は、何かというと、ミミズ! 芋虫みたいに太ったミミズなんだけれど、このミミズの後をみんなが歩いていっている。
おおーっ、ミミズ(笑)
自分の人生の歩みが、ミミズのスピードと同じだなんて誰も知らないけれど、人生なんてそんなものだよって、教えているみたいだ(笑)
そうか〜、そんなものですよね。ゆっくりゆっくり、か。いやー、井上さんの絵には、いつも救われますね。
2015.05.08(fri)




よこはちは、名もない女性編集者。障がいを越えて表現を楽しむアートスペース「フェースofワンダー」の仲間たちの作品に惹かれ、主宰者のまねきねこさんに「くすくすミュージアム」で絵を紹介しないかと持ちかけました。
まねきねこさんは、「フェースofワンダー」で個性に合わせた素材、道具、画法開発を大切に考えた活動を展開するかたわら、「指導者養成講座」にも取り組んでいる人物です。 主著に『アートびっくり箱』(学研)、『続アートびっくり箱』(学研)、『ねっこのルーティ』(パロル舎)、『ねっこのルーティ(電子書籍版)』(BowBooks)など。




●ボールペン/240×350mm




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