第277回「かっこいい動物たち」

これまた巨匠の予感ですね。

あっ、以前まねきねこさんが「彼はクロッキーの才能があるのかもしれない」と言っていた、遼太さんの作品ですね。これを見ると、才能が開花したんじゃないですか? どれもすごい、かっこいい。
さらさら描いているけれど、炭酸水のような軽くて透明感のある絵(笑)。一見いい加減に見えるけれど、実はとてもしっかり動物たちの姿を捉えている。ペンギンの動きとかワシの目を見ると、どこがポイントかわかっているようだ。
どの絵も、動物たちの気持ちとか雰囲気がはっきりと伝わってきますよ。雑(すみません!)なように見えて、丁寧。これ、褒め言葉ですよ! よくこんな風に描けるなぁ。
ペンギンなんか、無邪気な子どもとそれを見守る親ペンギンの心配そうな表情が絶品! 二匹の大きさやバランスも絶妙だよね。オオカミは、眉をキッとあげた凛々しい表情。ワシは、森の王者の風格さえ感じさせるね。
この、周りのグシャグシャっとした線も、彼らの雰囲気を確実に盛り上げてますよね。
うん。オオカミの絵の背景なんかは、彼が生きている厳しい環境、冬の強い風(ブリザード)を連想させる。両耳を立てて、風の中に仲間の声や獲物の動きを探っているみたい。
ワシの絵の背景のザザザッと描かれた緑も、好きです。森の中でフッと顔を上げたワシが、獲物を見つけて不適に微笑む……そんな光景が思い浮かんできますよ。
どれも軽くてしなやかな線。余分な線もあるようだけれど、あまり騒々しさを感じない。実はかなり意識的にコントロールして、抑制しているかもしれない。見れば見るほど、すごいなぁって気がする。
いやぁ、これまた巨匠の予感ですね。
うん。「お主、なかなかやるな!」って、声をかけたくなるよ(笑)
2015.04.10(fri)




よこはちは、名もない女性編集者。障がいを越えて表現を楽しむアートスペース「フェースofワンダー」の仲間たちの作品に惹かれ、主宰者のまねきねこさんに「くすくすミュージアム」で絵を紹介しないかと持ちかけました。
まねきねこさんは、「フェースofワンダー」で個性に合わせた素材、道具、画法開発を大切に考えた活動を展開するかたわら、「指導者養成講座」にも取り組んでいる人物です。 主著に『アートびっくり箱』(学研)、『続アートびっくり箱』(学研)、『ねっこのルーティ』(パロル舎)、『ねっこのルーティ(電子書籍版)』(BowBooks)など。




●水性色鉛筆/水性絵の具/ボールペン/140×190mm




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