第262回「いばるライオン」

こりゃぁ、なかなか手強そうですね。

これは、ぼくの好きなライオンたちの絵。一匹一匹の表情がなんともいいよね。じっと見てると、8匹それぞれの性格がわかるような気になる。
右端にいるライオン、尻尾をピーンと立てていていいなぁ。私はこの子がお気に入りです。顔も何だかこんがらがってる(笑)
一番手前のライオンは、本気モードで怒ってるみたい。目をつりあげ、大きく口を開けて「来るんじゃねぇー!」って威嚇してる(笑)。
ふむふむ。ということは、コイツがボス? 「ここは俺のなわばりだ!」とか言ってるのかな? ただ悲しいかな、この群れメスライオンがいないんですよね。みーんな男。
他のライオンは、適当に調子を合わせて口を開けているみたいだ。表情に怒りが感じられない。よこはちさんが言っていた尻尾の奴なんて、地面の虫でも捕まえようと遊んでるみたい。
うふふ。気軽でいいですね。
ひろあきさんは、くすくす初登場。この春に中学に進学する。彼と出会ったのは去年の11月だから、まだ3ヵ月少し。彼、面白い画風の絵をいっぱい描いていた。その量がすごいんだよね。呼吸するみたいに描いていく。
呼吸!
お母さんはそのスピードに合わせて、どんどん紙を彼の前に広げていく。まるで息の合った画伯とアシスタントさんみたいなんだよ。
すみません。私今、わんこそばみたいな風景を思い描いてしまいました(笑)。ひろあきさんがそばを食べている人で、お母さんがお椀にそばを入れる人。でも近しいんじゃないかなぁ。
ははは。ぼくはそこになかなか入り込めなくて、彼はぼくのことを、周りで適当にウロウロしている変な奴って思ってるかもしれない(笑)
どう付き合っていけばいいのか、なかなかわからないのかもしれませんよね。
ぼくの受け止め方は、仲間たちも一人ひとり違うからいいんだけれど、この絵はぼくに対する警告にも見えるなぁ(笑)。「オレ様の絵の世界に踏み込んでくるんじゃねぇ!」。で、ぼくはライオンの周りをウロウロしてる。
こりゃぁ、なかなか手強そうですね(笑)
2015.02.17(tue)




よこはちは、名もない女性編集者。障がいを越えて表現を楽しむアートスペース「フェースofワンダー」の仲間たちの作品に惹かれ、主宰者のまねきねこさんに「くすくすミュージアム」で絵を紹介しないかと持ちかけました。
まねきねこさんは、「フェースofワンダー」で個性に合わせた素材、道具、画法開発を大切に考えた活動を展開するかたわら、「指導者養成講座」にも取り組んでいる人物です。 主著に『アートびっくり箱』(学研)、『続アートびっくり箱』(学研)、『ねっこのルーティ』(パロル舎)、『ねっこのルーティ(電子書籍版)』(BowBooks)など。




●サインペン/270×370mm




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