第224回「ふふふ…現代のモナリザ」

あ、本当だ! 目が合わない!

きれい! 亜里沙さんは思わず見入ってしまう、美しい線を描きますよね。
彼女の作品は、久しぶりだね。すごくシンプルで雰囲気がある。パッと見ると、女の子のイラストのようだけれど、よく見るといろいろなものが浮かんでくる。
いろいろなもの……とは?
例えばこの表情、真っ赤な口元の微笑み、それから茶色の瞳、目尻が上がってて、眉の形も現代風なんだけれど、実は永遠性を表現しているように、ぼくなんかは思う。というのは、この人はこちらを見ていない。目をそらしている。
あ、本当だ! 目が合わない! 不思議。合わせようとしても、合わないですね。
ダビンチのモナリザはこちらをまっすぐ見て微笑んでいる。その微笑みに、「上からの視線」のような権力的ないやらしさを感じるんだけれど、彼女のモナリザからはそんなものは感じない。あるがままを受け入れてくれてる感じがする。
そうですね。見ていると、心が穏やかになっていくようです。彼女は、穏やかな人なのかな。
色塗りを途中でやめているのもなぜか面白いね。これ以上塗ったら、今持っている微笑みの表情が埋もれてしまう…ギリギリのところで止めている。それにしても見れば見るほど面白い絵だ。
私が気になるのは、服かな。こういう言い方、変かもしれませんが、何とかレンジャーとかの戦隊ものの服みたい。特にVのような形の線。ちょっとセクシー過ぎる戦隊員ですが……なんか、アホなこと言ってすいません。
そんなことないよ(笑)。左の手は、爪楊枝のようにとがっているね。どうして手を描かなかったんだろう? 映画のシザーハンズみたいに何だか意味ありの人生を送ってきたんだろうか? って思っちゃうね。
私は、彼女が描く女性って、どうしても人魚に見えるんですよね。だからこの手の先も、海の中に入っているんです。髪の毛も下半身も海の中。王冠をかぶっているから、人魚姫かな。亜里沙さんも、こんな風な素敵女子なのかな。
2014.09.30(tue)




よこはちは、名もない女性編集者。障がいを越えて表現を楽しむアートスペース「フェースofワンダー」の仲間たちの作品に惹かれ、主宰者のまねきねこさんに「くすくすミュージアム」で絵を紹介しないかと持ちかけました。
まねきねこさんは、「フェースofワンダー」で個性に合わせた素材、道具、画法開発を大切に考えた活動を展開するかたわら、「指導者養成講座」にも取り組んでいる人物です。 主著に『アートびっくり箱』(学研)、『続アートびっくり箱』(学研)、『ねっこのルーティ』(パロル舎)、『ねっこのルーティ(電子書籍版)』(BowBooks)など。




水性色鉛筆/ボールペン/370×270mm




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