第179回「貧の山登り」

男の子5人と女の子5人、
それからおじいちゃん2人。

これは可愛い! スタカタ走ってますよ!
パッと見ると、「貧」という文字が忙しそうに走っているように見えるね。
「貧」の足がね、ちょっと駆け出した感じの足ですよね。キャピっと(死語?)した女子の足になってますよ。
くすくすミュージアムの読者はお分かりだと思うけれど、この「貧」の字は書家の井上有一の文字です。
あ、やっぱり。井上有一シリーズなんですね。今回の作品の作者も井上くんだから、ダブル井上。
井上有一の文字には、苦闘するエネルギーがあふれていたりするんだけれど、井上くんが描くと脱力、ひょうひょうとしている。それがおもしろい。
もう、女子ですもんね。「まずしくったって〜♪ひもじくったって〜♪」って、歌が聞こえてきそう。極めつけには、頭に幼い兄弟たちが走り回っちゃって…。アルバイトしながら面倒見てるんですかね、大変ですよ(全て妄想です)。
今回は、彼にいつもの「リトルピープル」を描いてくださいってリクエストした。「男の子5人と女の子5人、それからおじいちゃん2人」。
あ、これリクエストしたんですね。おじいちゃん? いましたっけ?
髪の長いのが女の子かな? メガネをかけているのがおじいちゃん?
あぁ、おじいちゃんの印はメガネですか。
彼は「◯人描いてください」って数をはっきりさせないと、とまどっちゃうんだよね。どういう風にその人数を描くのか、とにかくうまく均等に描ききってる。大きさを無意識に計算してるんだろうか? 戸惑いもなく描いていくんだよ。
確かに! 計ったかのように、均等ですよ。いいなぁ、私も井上さんにリクエストしてみたいです。100人っていったら、100人を計算して描いてくれるのかなぁ。
2014.04.18(fri)




よこはちは、名もない女性編集者。障がいを越えて表現を楽しむアートスペース「フェースofワンダー」の仲間たちの作品に惹かれ、主宰者のまねきねこさんに「くすくすミュージアム」で絵を紹介しないかと持ちかけました。
まねきねこさんは、「フェースofワンダー」で個性に合わせた素材、道具、画法開発を大切に考えた活動を展開するかたわら、「指導者養成講座」にも取り組んでいる人物です。 主著に『アートびっくり箱』(学研)、『続アートびっくり箱』(学研)、『ねっこのルーティ』(パロル舎)、『ねっこのルーティ(電子書籍版)』(BowBooks)など。




墨/ボールペン/410×315mm




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