第97回「氷山の対決」

見てて飽きない絵だ!

おぉ、夏にはもってこいの涼しげな作品ですね。しかし、なんかシュールな絵だなぁ。
これは今年になって描いた作品。相変わらず、ひょうきんなTomくんテイストがあふれてるね。二匹のペンギンを描き写していたのだけれど、いつのまにか鮭なんだろうか、大きな魚が現れ、少し離れた氷山にシロクマが立っていた(笑)。
鮭とシロクマはオリジナルなんですか(笑)。ペンギンを描いていたら、「ここには鮭とシロクマだろ!」って思ったんですかね。
シロクマは仁王立ちで「この魚は俺のものだ! 絶対にやらねえよ」って感じで、手前の二匹のペンギンにガンを飛ばしている。この一触即発の緊張感が、この絵の醍醐味だねぇ。
このシロクマの目、気になるなぁ。魚も同じ目をしてるんですが、何考えてるかわからなくておもしろいです。私はこのシロクマ、ペンギンたちを見て「うげっ、あいつらだ!」って、鮭を手から落としそうになってるように見えます。
確かに、手前右の大きなペンギンはなかなか強そうだもんね。目が、二日酔いみたいに赤くなっていて、不適に笑っている。百戦錬磨なのかもね?
もう一方のペンギンの肩を組んじゃったりしてますもんねぇ。私、Tomくんが参考にしたペンギンの写真見たんですが、こんな挑戦的な顔してなかったですよ。もうちょっと切ない顔してましたけどねぇ(笑)
ははは……。そういえば一見、見えないかもしれないけど、シロクマとペンギンのいる光景はやっぱり氷山だよね。
あっ、本当だ! 無意識に見ていましたが、これは氷山でしょう。ツートンカラーの氷山。
この絵の面白さは、物語性と色彩かな。彼は、水性色鉛筆をきちっと二回塗りしているから、色に深みが出るよね。
う〜ん、改めて見るとやっぱりいろいろおもしろいですねぇ。見てて飽きない絵だ。
2013.06.018(tue)




よこはちは、名もない女性編集者。障がいを越えて表現を楽しむアートスペース「フェースofワンダー」の仲間たちの作品に惹かれ、主宰者のまねきねこさんに「くすくすミュージアム」で絵を紹介しないかと持ちかけました。
まねきねこさんは、「フェースofワンダー」で個性に合わせた素材、道具、画法開発を大切に考えた活動を展開するかたわら、「指導者養成講座」にも取り組んでいる人物です。 主著に『アートびっくり箱』(学研)、『続アートびっくり箱』(学研)、『ねっこのルーティ』(パロル舎)、『ねっこのルーティ(電子書籍版)』(BowBooks)など。




水性絵の具/水性色鉛筆/250×345mm




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