第338回「ストロー」

目とか口とか、描き足したーい。

これ、ストローだったんですね! 間違いなくラッパだと思ってました。すごくいい! なぜか癒されます。
実はこれ、A.ひろしさんが高校生の頃描いた絵で、ジャバラのついたストローを描いたもの。
今は彼、社会人になって働いてますもんねぇ。だいぶ前の絵なんですねー。
ぼくは、これで彼の絵の魅力を教えられた。彼は最初、横一直線のストローを描いたんだ。それからどうしようかと思案。達磨落としのような、太い積み重ねの色を描いた。
いつもゆっくりな動きと口調で、優しく話しかけてくれる彼らしい、癒される描き方。
続いて今度は急に上に伸びて、さらに右に折れて、こんな形になった。どこまで考えて描いたのかわからないけれど、とにかく描きながら所々で立ち止まり、思案して次に進んでいってる。
うんうん。首を傾げて思案してるところが目に浮かびます。
うん。その動きがシンプルに表現されていて、ぼくらの心にスッと入ってくる。色の塗り方も彼らしくとても丁寧。やわらかで優しい。
あぁ、わかります。彼はきっと、人を癒すために生まれてきたんでしょうねぇ。そんな人に、私もなりたい。
ちなみにぼくはこれ、ゆっくり移動するカラフルなヘビに見える。細い方が頭で、体をぐねぐねさせて進んでいる。体の一部が太くなったり、細くなったりして、何かに向かって進んでいる。そんな広がりと動きがある気がするなぁ。
おお、想像力豊か! 目とか口とか、描き足したーい。
2016.02.05(fri)




よこはちは、名もない女性編集者。障がいを越えて表現を楽しむアートスペース「フェースofワンダー」の仲間たちの作品に惹かれ、主宰者のまねきねこさんに「くすくすミュージアム」で絵を紹介しないかと持ちかけました。
まねきねこさんは、「フェースofワンダー」で個性に合わせた素材、道具、画法開発を大切に考えた活動を展開するかたわら、「指導者養成講座」にも取り組んでいる人物です。 主著に『アートびっくり箱』(学研)、『続アートびっくり箱』(学研)、『ねっこのルーティ』(パロル舎)、『ねっこのルーティ(電子書籍版)』(BowBooks)など。









サインペン/140×270mm




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