第324回「虹、ばしゃーん!」
とにかく、躍動感がすごい。
この絵、集中したときの、りほさんの様子がリアルに伝わってくる。目力がすごくて、息遣いもふう、ふうって、体の中から湧いてくる息を吐き出してるみたい。 | |
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手前の大きな波模様の虹のうねり具合、すごいねぇ。更にその向こう、左側から山津波のように、もう一つ虹が覆いかぶさってくる。右側には、遠景のように三つ目の虹が遠ざかっていくように描かれている。 | |
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絵を描きにくると、彼女の中一杯に詰まっているいろんなイメージがあふれてくるみたい。すごくダイナミックな表現になるんだ。 | |
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そう。波とか海、野菜や玉ねぎやタコ、星とかシャボン玉なんてときもあったね。どれも大らかな太い線の圧倒的な動きが魅力。今はもうやらないけれど、この絵を描いた頃は、絵の周りを黒いクレパスで縁取りすることがよくあった。 | |
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縁取りすることで、無意識に絵全体をまとめようとしていたのかも。彼女は、今も出来上がり近くになると、一気に太い筆で上から塗りつぶすことがある。描いてる途中で別の力が湧いてきて、その絵がどうでもよくなるみたいにね。 | |
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ぼくなんかは、それを「ああ、もったいない!」なんて、せこいことを思ってしまうんだけれど(笑)。彼女にはそれがないよね。描きたいという想い、エネルギーをよく表現している。傑作の一つかもしれないね。 |
よこはちは、名もない女性編集者。障がいを越えて表現を楽しむアートスペース「フェースofワンダー」の仲間たちの作品に惹かれ、主宰者のまねきねこさんに「くすくすミュージアム」で絵を紹介しないかと持ちかけました。
まねきねこさんは、「フェースofワンダー」で個性に合わせた素材、道具、画法開発を大切に考えた活動を展開するかたわら、「指導者養成講座」にも取り組んでいる人物です。
主著に『アートびっくり箱』(学研)、『続アートびっくり箱』(学研)、『ねっこのルーティ』(パロル舎)、『ねっこのルーティ(電子書籍版)』(BowBooks)など。