第252回「遠くを見つめるペンギン」

好きな子にアタックして、
振られたんでしょうか。

わぁ、きれいなペンギン。色合いがすごくいいですね。
猫の画家、みくさんのペンギンだね。猫は、毛をいっぱい描くから丸くてふっくらした感じが出るけど、ペンギンは難しい。で、写真をよく見て、体の毛を描いていった。みくさんの好きな色にしてよって言ったら、カラフルになった。
ただ、この子ちょっと落ち込んでるんでしょうか?
遠くをじっと見ている孤高のペンギン(笑)。結構、厳しい表情をしているよね。寒い北極の氷の上で、何を待ってるんだろう? 空も青暗くて、余裕がない。白い氷も結構リアル。
何があったんでしょうかね。好きな子にアタックして、振られたんでしょうかね。
ほら、以前に紹介したTomさんの傑作の悪人顔をしたピンクウサギと似ている。彼の絵には魚がいたりして、ウサギが何を狙っているのか想像できるんだけれど、このペンギンはそれがわからない分、もっと不気味(笑)
この子を見ていると、「とにかくちょっと元気出しなよ、落ち込んでてもいいことないよ」って励ましたくなるなぁ。飲みに行ったら、愚痴を聞かされるのかな? ずっと黙って飲んでるのかな(笑)
どうしてこんな面白いキャラクターが生まれてくるんだろう。みくさんに限らず、いろいろな仲間が突拍子もない表情の動物たちを描く。最近はそれが気になって仕方がない。まるで、ぼくの前に自分の存在を知らせるようにね。
「私って、実はこんな一面もあるのよ」って、見せつけられてる感じしますよね。みんな、意外に大人だったり、ユニークだったり、おしゃれだったりするんですよね。そこんとこには、いつも感心させられます。
みくさんは、まだ中学生だから、これからどんどん絵も変わっていくような気がする。楽しみだ。
2015.01.13(tue)




よこはちは、名もない女性編集者。障がいを越えて表現を楽しむアートスペース「フェースofワンダー」の仲間たちの作品に惹かれ、主宰者のまねきねこさんに「くすくすミュージアム」で絵を紹介しないかと持ちかけました。
まねきねこさんは、「フェースofワンダー」で個性に合わせた素材、道具、画法開発を大切に考えた活動を展開するかたわら、「指導者養成講座」にも取り組んでいる人物です。 主著に『アートびっくり箱』(学研)、『続アートびっくり箱』(学研)、『ねっこのルーティ』(パロル舎)、『ねっこのルーティ(電子書籍版)』(BowBooks)など。




●修正ペン/水性色鉛筆/アクリル絵の具/127×178mm




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