第170回「たまねぎと有一」

玉ねぎの輝きは、女性の輝き。

ゆきさんが描き続けている、書家の井上有一シリーズの一つですね。
最近、井上有一さんを描いている仲間が多いですね。大人気だ。彼の写真がいいのかな。しかし、今回の作品に関しては、私何が何だかわかりません。でも、丸っこくてかわいい絵。
この絵、玉ねぎが有一を包み込もうとしている。有一の顔よりも巨大な玉ねぎが有一の右耳をかじっている?
えっ、この左のものは玉ねぎ? 右が有一ですか。ふむふむ。
有一はびっくりして目を開き、大きな涙を流している。子どもみたいに素直に反省しているようにも見える。
あっ、涙あった! なーんか、耳らしきものが黒くて、顔もまだらで模様みたいですね。犬? のように見えるなぁ。
マンガみたいなシチュエーションなんだけれど、妙にあたたかい奥行きがあるよね。
ええ。この絵の塗り方とか、あったかい。丸が多いところにも、優しさを感じます。でも、何で玉ねぎなんでしょう(笑)
玉ねぎの頭頂部の根のようなものがひげのようにも見えるし、何よりも光り輝いている。食べ物の聖性、生活の強さ、ゆきさんの中のそんなものが感じられるね。
きれいなきれいな玉ねぎですもんねぇ。母親としての視点なのかな?
うん。女性として、生活者として、有一を捉えようとしてる気がする。流れていく生活の中のいろいろなもの、育児だったり、買い物のことだったり、そんなものの流れている感じがぼくにはする。
玉ねぎの輝きは、女性の輝きですね。
2014.03.18(tue)




よこはちは、名もない女性編集者。障がいを越えて表現を楽しむアートスペース「フェースofワンダー」の仲間たちの作品に惹かれ、主宰者のまねきねこさんに「くすくすミュージアム」で絵を紹介しないかと持ちかけました。
まねきねこさんは、「フェースofワンダー」で個性に合わせた素材、道具、画法開発を大切に考えた活動を展開するかたわら、「指導者養成講座」にも取り組んでいる人物です。 主著に『アートびっくり箱』(学研)、『続アートびっくり箱』(学研)、『ねっこのルーティ』(パロル舎)、『ねっこのルーティ(電子書籍版)』(BowBooks)など。




水性色鉛筆/170×240mm




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