第142回「中島くんが体重を計る」

中島くんが誰かは、ぼくも知らない。

TARO画伯の作品ですね。いつもながら、カラフルでクッキリハッキリ。きれいですね! それはそうと、これはいったいどういう絵なんでしょう。
う〜ん…書家の井上有一の写真を見て描いたんだ(笑)。写真では上半身裸の有一が、太い筆で一気に文字を書いていたんだけれど、TARO画伯の絵はいつの間にか、中島くんがおそるおそる体重計に四つん這いになる絵になってた。
え〜とえ〜と(笑)そもそもなところから、いいですか(笑)中島くんって誰ですか?
中島くんが誰かは、ぼくも知らない。作業所での健康診断でも思い出したのかな? 痩せてるよね? 50kgくらいかな(笑)
確かに痩せてる…いやいや! 痩せてるか太っているかは置いといて。まねきねこさんも、中島くんのことは知らないんですね。この文字も気になるんですよね、「貧風」って。貧しい風? いったい何なんですか。
「風」とか「貧」とかは、有一の文字を見て描いたんだ。ただ、足下は中島くんの文字になってるね。オレンジの紙に書いているっていうのが、衝撃的。
誰だかわからない中島くんが、体重を計りながらオレンジの紙に「中島くんが体重を計る」と書いている。そして、貧しい風。さらに、鳥。……深過ぎじゃないですか(笑)。ちなみに中島くん、髪が少し薄い。いくつなんだろう…。
こんな絵を画伯が描いてるなんて知ったら、有一も地下から出てくるかもね(笑)豪快に笑いながら、一緒に絵や書を書きまくっているかもしれない。
この絵って、今度の作品展に向けて描いているんですよね。
そう。3年後が井上有一の生誕100年で、仲間たちと有一のコラボレーション作品展をやりたいんだ。有一が生きていたら、きっと面白がったと思うね。でも、作品はコラボできる。フェースらしい、有一らしい作品展にしたいんだよ。
2013.11.29(fri)




よこはちは、名もない女性編集者。障がいを越えて表現を楽しむアートスペース「フェースofワンダー」の仲間たちの作品に惹かれ、主宰者のまねきねこさんに「くすくすミュージアム」で絵を紹介しないかと持ちかけました。
まねきねこさんは、「フェースofワンダー」で個性に合わせた素材、道具、画法開発を大切に考えた活動を展開するかたわら、「指導者養成講座」にも取り組んでいる人物です。 主著に『アートびっくり箱』(学研)、『続アートびっくり箱』(学研)、『ねっこのルーティ』(パロル舎)、『ねっこのルーティ(電子書籍版)』(BowBooks)など。




アクリル絵の具/310×405mmmm




かんそうを送る