第23回「草色のいぬ」

見るものの気持ちを受け取って、
表情がかわる。

この犬、いいですね。この丸まってくっついてる尻尾とか、すごく犬っぽい! りおちゃんは、犬を飼ってるのかな? どうやって描いているんでしょう。
しっぽが丸まってくっついているところは、コーヒーカップの取っ手みたいだね。りおさんは、動物とか果物とかが描かれてる、絵カードを見ながら描いているんだよ。最初にローラーで下地を塗って、ボールペンで形を描いて、色鉛筆で犬を塗って。この犬は、りおさんの傑作の一つだね。
何となく、こっちを見てるみたい。
本物の犬も、止まってこっちを見てるときがあるよね。静止することで、動きを感じさせる。ガブリエルバンサンという人が、「アンジュール」という犬の物語を描いているんだけど、ぼくはその本を思い出すよ。言葉がなくて、コンテだけで描かれていて、犬が車から捨てられるところから始まるんだけど…。
今の話を聞いていたら、何だかこの絵がさみしい感じに見えてきました。
この絵は、見るものの気持ちを受け取って、さみしかったり、優しかったり、慰めてくれたり、いろんな気持ちにしてくれるよね。相手の心に合わせて、気持ちを伝えてくれる。
何だろう。優しいって言われたら、そういう風にも見えてきてしまいました(笑)
こういう絵って、描こうと思っても描けない。今のりおさんだから描ける、とても大切な宝石だね。
2012.9.25(tue)










水彩絵の具/ボールペン/色鉛筆/240×350mm